人間ドックにて診察を行うのは医師の仕事となります。

診察というのは患者と医師とが正面から向き合うのが基本であり、「人間対人間」というシチュエーションであるからこそ、そこには対人スキルが必要となってくるのです。

そして対人テクニックといえば、やはり学問としては心理学の分野といってよいでしょう。

当サイトでは、長年の研究により多種多様にわたって確立されている心理学の対人テクニックを人間ドック診察に応用するときの考え方について、初歩的なものから押さえていきたいと思います。

  

  

会話の基本

人間ドックにおいて医師が患者を診察するときは、「聴く」「質問する」「伝える」の3ステップが基本となっているそうです。

これは診察だけでなく、コミュニケーションを交わす相手がスタッフや上司、同僚などすべての場合に共通する方法です。

今まで、人間ドックに限らず医療現場では医師から患者への一方通行の会話になりがちでした。しかし、この順序を守ることで、双方向の会話の流れが作りやすくなる「コミュニケーション」に重きを置いた会話が行えます。相手の話をしっかりと「聴く」ことで、相手は「言いたいことが言えた」という満足感を得られます。

次に「質問する」ことで、聞いた情報をより具体的に把握できます。この質問により、相手のニーズや思いを引き出すことができ、診察が行いやすくなります。最後に、今までの情報を元に「伝える」ことで、相手の気持ちに沿う形で情報提供や提案を行うことができます。

今までの医療現場でのありかたは、医師が患者へ質問をする形が多かったそうです。例えば「いつからですか」「食事はとれていますか」「咳や鼻水は出ていますか」などと医師が聞き、患者はほとんどイエスかノーで答えていきます。それにより、医師が結論や情報を伝えて診察を終了するという方法です。

医療現場でありがちなパターンであり、患者は「自分の話を聞いてくれなかった」と不満を抱きがちでした。これは「質問する」「伝える」だけのコミュニケーションであり、初めの「聴く」が抜けている状態です。

すべての患者は、「まず自分の話を聞いてもらいたい」と思っています。特に忙しい状態では一方通行に話す医師が多いですが、まずは相手の話を聞くことを心掛けましょう。

落ち着いて話を聞くことで、結果的に早く治療が終わったということもあるそうです。